どうも、指1ギター管理人です。
今回はギブソン社の隠れた名器とも言われる
レスポール・デラックスについてまとめて見ようと思います。
レスポール・デラックスの誕生した歴史的背景や、
レスポール・スタンダードとの音やスペックの違いや
年代別のスペックの変化などをまとめています。
ヴィンテージ市場では、なかなか手が出ない
レスポール・スタンダードと比較すると割りと手に入れやすい
デラックス、中古での購入も検討している方には有益な情報になると
思いますので、読み進めて頂ければと思います。
では、早速いってみましょう!
ギブソン レスポールデラックスの特徴と歴史!
レスポール・デラックスは1969年~84年まで製造された
ギブソン社のレスポール・スタンダードのバリエーションモデルです。
レスポール・スタンダードに搭載されていたハムバッカーPAFを
ミニハムバッカーに載せ替えた事が最も大きな違いと言えるでしょう。
この項目では、レスポールデラックスが発売された当時の、
ギブソンの歴史を少し解説していきますね!
今では、ギブソン社の看板エレキギターとなった
レスポール・シリーズですが、最も人気の高いモデル
「レスポール・スタンダード」は、実は1960年には
セールス不調で生産終了になっています。
その後、レスポール・スタンダードの製品名は、
現代で言えばSGがSGスタンダードとして引き継ぐことに
なりましたが、1968年には、原点回帰とも言える、
1956年仕様のP-90が搭載されたゴールドトップの
レスポール・スタンダードがリイシューとして復活します。
1968年の後半頃にはミニハムバッカー・ピックアップが搭載された
「レスポール・デラックス」が発売され細かな仕様変更を経て
1984年には生産終了となっています。
ちなみに当時、フルサイズ・ハムバッカーが搭載された
レスポールはスタンダードでは無くカスタムのみでハムバッカー搭載の
スタンダードは特注のオーダー品のみでの生産となっていた様ですね。
ですが、ハムバッカー搭載のスタンダードは高い人気と
ユーザーからの高い需要に押され1975年頃から原点回帰モデルの
フルハムバッカー搭載のレスポール・スタンダードの再販が決定しました。
レスポールデラックスは84年に生産完了となりましたが、
これはハムバッカー搭載スタンダードの復刻がセールスが
落ち込んだ事が原因とも言われています…。
ミニハムバッカー搭載のレスポール・デラックスは、
王道のレスポール・スタンダードが好きなギタリストからは
邪道だと言う声も一部ではあるようですね。
ただ、現行のギブソンUSAのレギュラーラインでも
スポット的にデラックスのリイシューモデルが販売されている事からも
スタンダードほどでは無いですが、人気はあると言う事でしょうね。
レスポール・デラックスは一言で言えば、
ミニハムバッカー搭載の70年代を代表するレスポールの
バリエーションモデルと考えて頂ければ良いかと思われます。
では、ここからはヴィンテージ含む、レスポールデラックスの
年代別のスペックの違いを追って行きましょう!
レスポールデラックス ヴィンテージ、70年代ギブソンの違い!
ここからは、70年代を代表するギブソンのレスポールの
バリエーションモデルである、レスポールデラックスのネックやボディ、
ピックアップやブリッジなどスペックの違いについて解説します。
Gibson Les Paul Deluxe 1968~
↑の動画は1969年のリアルヴィンテージのレスポールデラックス・ゴールドトップの演奏動画です。
レスポール・デラックスは基本的には
レスポール・スタンダードと近いスペックです。
木材に関してはバースト期のヴィンテージと同様に
マホガニーネック、メイプルトップ・マホガニーバックボディです。
ただ、細かな違いとして、
- ラージヘッド
- 3ピースマホガニーボディ
- スマートボリュート
- パンケーキ構造のボディ
をあげることができますね。
ネックに関しては、50~60年代のギブソンとは違い、
木材の枯渇からか効率化が進められ3ピースネックへと
変更されます。
またラージヘッドと呼ばれる、やや大きめのヘッド形状を持ち、
ネック強度を上げる為にヘッド裏にはスマートボリュートと呼ばれる
小さな隆起があります。
ボディに関しても、パンケーキ構造と呼ばれる
2枚のマホガニー材の間に薄いメイプルの板が挟み込まれた
3プライ構造が採用されています。
また、トップ材もセンター2ピースではなく、
3ピースが目立つようになり、モノによっては4ピースの
個体も見られる事もあるようですね。
トップのアーチも、この年代から年を追う毎に
緩くなっていきます。
ただ、かなりレアですが、1969年のデラックスには
バースト期の様に深いアーチトップ加工でバックには1ピースマホガニーボディ、
ネックにボリュートも入っていない個体があるらしく、
恐らくストックしていた50年代の材で組み上げられたのでは?
と言われています。
中古市場でもコチラは価格が高く非常にレアですが、
プロトタイプ的な個体では?と海外の掲示板などでは、
議論されていたのを記憶しています。
また、細かな仕様の違いとして1969年のギブソンギターは、
Gibsonのロゴのiの文字にドットがついていないですが、
1970年からはドットが復活します。
カラーリングとしては、ゴールドトップ塗装が最も人気が高く、
多く生産されたと言われていますが、他にも
チェリーサンバーストやナチュラルがチラホラ見られますが、
レアカラーとしてエボニー(黒)やチェリー(赤系)の個体も、
中古市場やオークションなどで目にすることがありますね。
Gibson Les Paul Deluxe 1975~
1975年中頃からは、ギブソンの生産工場がナッシュビルへ移動した事から
生産体制を大きく見直されます。
最も大きな違いは、ネック材で、
マホガニー3ピースからメイプル3ピースへと変更され
更に端切れの良いサウンド傾向になったとも言われています。
また、ブリッジに関してもオクターブピッチの調節幅が
大きいナッシュビルタイプのチューン・オー・マティックブリッジに
なっています。
↑の動画は1976年のメイプルネックのレスポール・デラックスです。
動画を見ると分かりますが、ネックにも施された
サンバーストフィニッシュや、3ピース・メイプルトップなど
70年代のレスポールはルックス的にも個性的ですね。
Gibson Les Paul Deluxe 1976~
1976年後期には、良材の確保が可能になったのか?
パンケーキボディ構造から1ピース・マホガニーボディに回帰し
更に1980年辺りからはネックも
1ピース・マホガニーの仕様になり1968年仕様と同等の仕様に戻り
1984年まで生産され続けます。
↑は1979年製のレスポール デラックスです。渋い黒のエボニーカラーが映えますね。メイプルネック期とは明らかにサウンドが違いマイルドですね。
また、70年代のギター全般の特徴とも言えるのですが、
重量感のある重い個体のギターが多いと言われていますが、
これは当時の流行りの音楽的にソリッドなサウンドや
ロングサスティーンが重視されていた事が背景とも言われていますし、
軽くて良い木材が取れなくなったとも言われています。
70年代ギターはギブソンに限らずヴィンテージ市場でも、
そういう傾向にありますね。
また、カラーリングはゴールドトップが特に人気だった様でしたが、
チェリーサンバーストやナチュラル、ワインレッド、エボニーなども
あったそうですね。
他にもレアなモデルですが、1975年にはカスタムカラーであるバサルトブルースパークルと
ロケットレッドスパークルと言うメタリックなカラーリングの限定モデルも販売されていました。
レスポールデラックス搭載ミニハムバッカーとP-90に互換性がある?
レスポール・デラックスの最も大きな特徴とも言える
ミニハムバッカー・ピックアップなのですが、
当時はエピフォンのギターに搭載されていたと言われています。
このミニハムバッカーにP-90とサイズが違うのですが、
マウンティング・アダプターリングと呼ばれるP-90サイズの
エスカッションを介して固定する事で互換性を持たせています。
また、レアなモデルですが、上記の画像のように、
エスカッションの周りを縁取っている「goof hiders」または
「goof ring」と呼ばれる塗装欠けなどを、
隠す為のパーツが釘が打たれている仕様も少数ですが、
存在していた様ですね。
ミニハムバッカーの音の傾向はフルサイズのハムバッカーと比較すると、
トレブリーでクリアなサウンドと評価される事が多いようですね。
ただ、P-90と比較すると小型とは言えハムバッカー構造な事から、
ノイズは少ないのも大きな特徴と言えるでしょう。
また、レスポール・デラックスに搭載されているミニハムバッカーは、
ファイヤーバードなどに搭載されているタイプとは違い、
片側のポールピースが露出しているタイプで基本的に構造も違っていて
比較すると若干ですが、落ち着きのあるサウンドだと言われています。
管理人もミニハムバッカー搭載のファイヤーバードを弾いた事がありますが、
確かにトレブリーでP-90の様な中域の粘りも少なく
良くも悪くも慣れ親しんだギブソンの音とは違った印象です。
当時は、ハムバッカー搭載のレスポール・カスタムと差別化する意味での
ミニハムバッカーが選ばれたとも言われていますが、
一説によるとミニハムバッカーはエピフォン・ニューヨーク工場での
過剰在庫解消の為とも言われていますね。
この事からか、ちなみにデラックス搭載のミニハムバッカーは
「ニューヨーク・ピックアップ」という別名も持っています。
1971年には「レスポール・スタンダード ’58」と言う
リイシューモデルが限定生産されていますが、この機種は製品名とは
裏腹にP-90ピックアップが搭載でスタッドブリッジの54年仕様と
なっていて、
- レスポール・カスタム=ハムバッカー
- レスポール・スタンダード=P-90
- レスポール・デラックス=ミニハム
と、この年代はギブソンのサウンドバリエーションを
広げる意味で様々なスペックのギターを市場投入しながら
需要を探っていたのかも知れないですね。
レスポールデラックスは改造される事が多かった?
’72 Gibson Deluxe converted Dimarzio paf
↑の画像はピックアップをディマジオ製ハムバッカーに改造した1972年製のギブソン・レスポールデラックスです。
前述の通り、レスポールデラックスはP-90ピックアップとの
互換性があることからザグリなしで載せ替えが可能でした。
ただし、当時に人気が高かったのではレスポール・スタンダードのような
2ハムバッカーが搭載されたレスポールです。
このことから、高級機種のレスポール・カスタムを入手するよりも、
やや安価なレスポールデラックスを入手して、自分の好きなハムバッカーを
搭載するといういわゆる「ハムバッカー・コンバート」が
流行していたようですね。
実際にオリジナルのヴィンテージ・レスポール・デラックスでも
ハムバッカーが搭載された状態で中古市場に放出されている事も見ることが
ありますよ。
このハムバッカー・コンバートは、50年代のゴールドトップなど
P-90ピックアップを搭載したレスポール・スタンダードにも見られる
改造だったりします。
良質な古い木材で造られた、レスポールのバリエーションモデルを
スタンダード風に改造するのは、面白い試みですね。
管理人もゴールドトップ期をバースト期に改造したリアル・ヴィンテージの
レスポール・スタンダードを触った事はありますが、凄い良い音だったと記憶しています。
ギブソン レスポールデラックス 中古で人気のリイシューモデル
Gibson 1991 Les Paul Deluxe Hall of Fame Limited Edition
ギブソン・レスポール・デラックスは1984年に生産完了していますが、
限定生産品で幾度となくラインナップに登場しています。
まずは1991年には、リミテッドエディションモデルとして
「Gibson Les Paul Deluxe 1991 Hall of Fame limited edition」が
一時的に復活しています。
このモデルはボディトップだけではなくバックもサイドも
全てゴールドカラーで仕上げたゴージャスなモデルです。
材はスモールヘッドの1ピースマホガニーネックに、
2Pメイプルトップ/1ピースマホガニーバックと1968年の
レスポールに近い仕様になっています。
オールゴールドな時点で、このモデルは分かりますが、
ネック裏にHall of Fame Editionのシールが貼られていますね。
Les Paul Deluxe 30th anniversary limited edition 1999
1999年にはデラックス誕生30周年記念として、
「Les Paul Deluxe 30th anniversary limited edition」が
限定発売されます。
こちらも70年代モデルのパンケーキ構造や3ピースネック、
ボリュート有りでは無い1968年に近い仕様ですが、
ネック裏にlimited editionのステッカーが貼っているのが特徴です。
Les Paul Deluxe 2000-2005
Les Paul Deluxe 30th anniversary limited editionと
変わらないスペックですが、ネック裏のステッカーが無い
モデルが2005年くらいまで、販売されていた様です。
メーカー記載の情報によるとCシェイプネックだそうですね。
Les Paul Deluxe 2012
2012年にもリミテッドモデルとして、
限定復刻されています。ただ、この年の機種は、
- チェンバード・ボディ
- 50’sスタイルネックシェイプ
- Katalox(カタロックス)指板
バック材のマホガニーが大幅に削られている、
チェンバードボディなので、軽い個体が多いですね。
50年代のラウンドネックだそうですが、
一部のサイトの情報では59プロファイルネックと
なっていたました。
カタロックスは別名、メキシカン・ロイヤル・エボニーと言う
名称ですが、実際にはエボニーでは無いですが見た目や
質感・硬さなどが似ている材のようです。
レスポール デラックス 2015モデルの賛否両論スペック!
2015年モデルはレスポール生誕150年ということもあり、
ギブソンも気合を入れたラインナップを提示した年でもあります。
デラックスに関しても非常に個性的な仕様となっています。
- トラディショナル・ウエイト・リリーフ(9穴)
- 非対称ラウンドCシェイプ・ネックの幅広ネック
- 従来より厚いローズウッド指板
- レスポール生誕100年記念ホログラムとロゴ
- G-FORCEオートチューナー
- ゼロフレット・アジャスタブル・ナット
- ポールピース無しの新型ミニハムバッカー
- 2V1T3Wayトグルスイッチ&ミニスイッチ
- 配線材の強化
- 15dBブースター内蔵
- コイルタップ可能
- チタンサドル
- ニッケルメッキのハードウェア
1.795インチのナット幅のアシンメトリーで細身に
プレイアビリティの高いネック、高さ調整可能で耐久性にも優れた
ブラス製のゼロ・フレット・アジャスタブル・ナット、
チタンサドルなどは、レスポール HP(ハイパフォーマンス)などモダンな
機種にも引き継がれている仕様です。
2015年の仕様で大きな特徴は15dBブースターの内蔵ですね。
2ボリューム1トーンにする事で一つ余った穴にミニスイッチを配置することで
手元でブースターを操る事が可能ですが、もちろん使用には
9ボルト電池が必要ですがキャビティ内に収まります。
また、ピックアップも良く見ると分かりますが、
ポールピースが無いミニハムバッカーですが、アルニコⅤマグネットを
使用した「New LP Mini Humbucker」と表記されていました。
多くのレスポール デラックスのピックアップには
アルニコⅡが使われている事から、この機種の為に開発したのかも
知れませんね。
チタンサドルの恩恵なのか?立ち上がりが良く、
かなりブライトなサウンドまで幅広いサウンドバリエーションが
魅力のモデルと言えるでしょう。
カラーは定番のゴールドトップ、ヘリテージ・チェリー・サンバーストと
赤系のワインレッド、鮮やかな青系のペルハムブルーの
4つのカラーから選択可能です。
ギブソン レスポールデラックス 2019 Japan Proprietary
2019年は日本限定モデルが発売されています。
材はパーツに関しては、レスポール トラディショナルに近い
スペックを持ちながらもミニハムバッカーを搭載した機種です。
ただ、ナットに関してはグラフテック製が採用されています。
クルーソン・デラックス・ペグ、メタルハットノブなど見た目も
当時を再現しているのに強いこだわりを感じますね。
2015年製は癖が強すぎ…もっとトラッドな現行品が欲しいと
言う方には願ったり叶ったりのモデルかも知れないですね。
また、厳密にソリッドボディとは表記されていないですが、
ウエイト・リリーフ加工も明記されていないので、
恐らくソリッドボディと思われます。
Gibson Les Paul Deluxe Light 2019 Japan Proprietary
ギブソンのレスポールデラックス2019年の
日本限定モデルには、レスポール・デラックス・ライトと言う
バリエーションモデルも販売されています。
こちらのモデルはライトの名の通り、少し厚が薄く
9ホール・ウエイト・リリーフで肉抜きされた事で軽量化したボディが
大きな特徴と言えるでしょう。
また、バックコンター加工入りで抱えやすく演奏性が高いのも
嬉しい仕様ですね。
レスポールは重い、弾きにくいと敬遠しているプレイヤーには
オススメのレスポール・デラックスですよ。
ギブソン・レスポールデラックス使用ギタリスト(アーティスト)
ピート・タウンゼント / ザ・フー
ギブソン社のレスポールデラックスを愛用している
ギタリストとして、大御所ロックバンドであるザ・フーの
ピート・タウンゼント氏がいますね。
ピート・タウンゼント氏はギブソンから
当時使っていたレスポールデラックスを再現した
シグネイチャーモデルが発売されていました。
センターピックアップにディマジオの
フルサイズ・ハムバッカーの名機である
スーパーディストーションが搭載されるという改造が
施されています。
ちなみに、ミドルピックアップは意図的にハウリングを起こして
フィードバックさせる為に取り付けられていて、追加で取り付けられた
スイッチでオン/オフが可能となっていたようですね。
他にも2ボリューム、マスタートーン仕様で、
フロントのトーンノブはミドルピックアップのブレンダーと言う、
非常に個性的な仕様のモデルとなっています。
スティーブ・ルカサー / TOTO
ミュージックマンのギターを持つ姿がトレードマークともなっている、
スティーブ・ルカサー氏ですが、実は最初の1本目のギターは1971年製の
ギブソン・レスポールデラックスだったと言っていました。
1959のバーストオリジナルや1958年のゴールドトップの
スタンダードやビンテージレスポールを複数本持っているそうですね。
スコット・ゴーハム / シン・リジィ(Thin Lizzy)
ハードロックバンド、シン・リジィのギタリスト、
スコット・ゴーハム氏もレスポールデラックスの愛用者でした。
元々、レスポール・スタンダードを購入予定だったようですが、
価格の安いレスポールデラックスを購入したと言われています。
1978年からはレスポール・スタンダードがメインギターとなったそうですね。
ストラトキャスターやレスポールスタンダートに
フロイドローズを搭載したモデルなど様々なモデルを
使用していましたが、
初期のレスポールデラックスを持つゴーハム氏のトーンにも
根強いファンは国内外問わずいるようですよ。
(現在、工事中!続きが気になる方はブクマ等して頂けると嬉しいです!)
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