どうも、指1ギター管理人です。
ギブソン社が誇るシングルコイル・ピックアップ
P-90の歴史や構造、音の特徴などP-90に関連する
情報を徹底的にまとめてみました。
また、この記事ではP-90搭載のギターを
11種類の項目に分けて紹介していて、後半では、
ピックアップ交換する時のお役立ち情報から、
おすすめのリプレイスメントまで幅広く解説しています。
P-90搭載ギターが欲しい人からピックアップ交換を
考えている人、またはP-90についての知識を深めたい人は
このまま記事を読み進めて下さいね。
ではでは、早速いってみましょう!
P 90ピックアップとは?
この項目では、P-90ピックアップについて、
- 歴史
- 構造
- 音の特徴
の3点から考察していこうと思います。
ギブソンとP-90の歴史
ギブソン社のピックアップは「P-90」は、
ソリッド・ギターが楽器市場に初登場する1951年より
少し前から存在していました。
実はギブソン社初のピックアップは、1936年に
フルアコ「ES-150」への搭載でデビューを果たした、
チャーリー・クリスチャン・ピックアックでした。
その後、1946年には17インチ・ボディとなった
「ES-150」には「P-90」の原型となるピックアップが
搭載されることになります。
この頃から様々な試行錯誤を繰り返し、
1952年頃には現代のP-90と同じ用な仕様に落ち着いたと
言われています。
1957年のPAFと呼ばれるフルサイズ・ハムバッカーが
開発されギブソンギターのデフォルト仕様となります。
ただ、ハムバッカーよりも生産コストの低いP-90は
スチューデント・モデルなどの低コストラインに採用され
引き続きラインナップからは消えずに生産が続きます。
その後、1960年後半~70年代には再度、
P-90が搭載されたレスポール・スタンダードや
カスタムがリイシューされましたが、
この頃は時代的に大音量で歪みの強いサウンドが
流行りだした事もあり、元々ノイズには弱いP-90を
縦積みにしたハムキャンセル版のP-100も開発されます。
ただ、1980年代に起こったLAメタルブームでは、
P-90もP-100も、あまり注目はされなかった様ですね。
現在のP-90は安価なラインだけでなく、
レギュラーラインやカスタムショップ製やヒスコレなどの
超高級ラインでも採用されている機種も多数あり、
シングルコイルとハムバッカー程にシェアは大きくは無いですが、
ギブソン社のみならず様々なギターに載ったP-90の姿を目にする事が
出来ます。
「P-90」ピックアップはある意味でシングル・ハムの2強の
シェアの中で第3の選択肢とも言えるピックアップでしょう。
P-90ピックアップの構造
P-90はシングルコイルピックアップの構造ですが、
以下の画像の様に、
- 固定用ネジ(2本)
- アジャスタブル・ポールピース(6本)
- ボビン
- スペーサー
- バーマグネット(2つ)
- ベースプレート
- パーツ固定用ネジ(2本)
から構成されています。ストラトやテレキャスなどの
フェンダー系のシングルコイル・ピックアップは
ポールピース自体がマグネットとなっていますが、
P-90はポールピース自体には磁力はありません。
これにより磁界の広がり方が違ってきます。
また、ポールピースは高さ調整可能なネジ式の
アジャスタブル・ポールピースが採用されているのも
ギブソン社のピックアップの大きな特徴と言えるでしょう。
形状的にもフェンダー系と比較すると高さは無く、
平べったい形状で、ジャズマスターと少し似た形状に
なっていますね。
ワイヤーのターン数もフェンダー系は8000前後なのに対して、
P-90は10000前後と2000程、多く巻かれていてシングルにしては
ハイパワーといえるでしょう。
ちなみに、50年代のP-90のワイヤーは
AWG42エナメル皮膜、70年代のモノはポリ皮膜と
なっていると言われています。
また、ボビンに関しては50年代は黒いプラ素材のモノでしたが、
60年代後半から70年代のモノは透明のアクリル素材となっていて巷では
「Gibson P-90 LAID BACK」とも呼ばれています。
↑の動画はP-90を製造している様子を撮影した動画です。
前半はワイヤーを巻いている作業が多いですが、後半では、
内部構造がバッチリ見れますので、気になる方はどうぞ!
P-90の音の特徴
ギブソンと言えばハムバッカーと言う印象があると思います。
ですが、P-90をハムバッカーと似たサウンドだとイメージすると
少し面食らうかも知れません。
また、純粋なシングルコイル・ピックアップではあるのですが、
前述の構造の違いもあり、フェンダー社の持つトレブリーさを求めると、
こちらも少し物足りなさを感じると思います。
簡単に言ってしまえば、フェンダー系のシングルよりはファットで、
ハムバッカーよりはクリアで綺羅びやかなサウンド傾向を持っていて、
中間的なサウンドと言われます。
この事から、良くも悪くも中途半端な音とも評価される
ピックアップでもあったりします。
↑はシングルコイル、P-90、ハムバッカーの比較動画です。
ストラトとレスポールの違いはありますが、ハッキリと違いが
分かると思います。
ハムバッカー派である期間がどちらかと言えば長い
管理人の主観では、P-90はフェンダー系のシングルコイルよりも
使いやすい印象で、
適度にふくよかな中域のコシの強さを持ちながらも
シングルコイル特有の高域と透明感があり非常に
魅力的なサウンドだと感じています。
ただ、当たり前なのですがシングルコイルなので深く歪ませると、
しっかりとノイズを拾ってしまいます。
管理人的にはパワーのある太めのシングルコイルとして扱っています。
ジャンル的にも、あまり激しいジャンルよりロックポップなど
軽い歪みが映える音楽にマッチするイメージを持っていますが、
しっかり歪ませたサウンドでもノイズ対策をしっかりすれば
使えなくは無いと個人的には感じていますが、
ギンギンに芯まで歪んだサウンドよりもクランチ系が
似合っていると思いますね。
ソープバーとドッグイヤー、カバーの違い!
P-90には、
- ソープバー
- ドッグイヤー
の2タイプのケースがありますが、それぞれの特徴を
見ていきましょう。
どちらも音に影響を与える中身の構造は変わらないのですが、
ただ、ベースプレートの形状は違います。
ソープバー
その名の通り石鹸の様な、長方形のケースです。
ソープバーケースに収められたP-90は固定用のネジが、
2・3番目と4・5番目のポールピースの間にあり、
ギター本体に直接ネジで止めて固定します。
高さ調整も、この固定用のネジを回すことで可能です。
ソリッドギターにはソープバータイプが採用される事が
ほとんどで、所謂ダイレクトマウントとなりますね。
ドッグイヤー
ドッグイヤーとは直訳すれば犬の耳ですが、
言葉の意味としては書籍の角に三角の折り目をつけて、
付箋代わりにする行為を指すものなんです。
上記の画像のように、ソープバーの左右から
三角形の突起物がついている事からドッグイヤーと
呼ばれている訳なんですね。
また、形状だけではなく固定方法がソープバーとは違い、
ドッグイヤー部をギター本体にネジ止めする事でピックアップを
固定します。
前述のように、P-90のドッグイヤータイプも中身は同じですが、
ベースプレートがドッグイヤーのカバーのネジ穴から固定出来る様な、
画像のような構造になっています。
見た目も可愛いドッグイヤータイプのカバーですが、
固定用ネジはあくまで固定用なのでピックアップの高さを
調節する事が出来ないのが不便な所だと言えるでしょう。
箱ギターや1ピックアップのギターに搭載される事が多く、
ポールピースの高さ調整のみでバランスを取る事が多いようですが、
機種によってはピックアップの底にスペーサーを
かます事で高さを稼いで調整する事もあるようですね。
P-90が開発された当初はドッグイヤーのみでしたが、
ソリッドボディのギターに固定する為にソープバーが
開発されたとも言われています。
P 100とは?P 90との違いと見分け方
P-90と同じような見た目ですが、中身は全然違う「P 100」と
言うピックアップがありました。
P-90との最も大きな違いは、P-100はハムキャンセル構造に
なっている事です。
ハムバッカーのように、シングルを2つ横に並べた
構造とは違い、P-90のコイルを縦に2つ積み上げる事で
片側のコイルをハムキャンセルに使っています。
このことにより、シングルコイルの弱点の1つである
ハムノイズを撃退する事に成功したモデルが「P 100」です。
ですが、もちろんハムバッカーの様な音が出る訳ではなく、
シングルコイルがハムバッカーになったと言うよりは、
どちらかと言えばノイズレスなどハムキャンセル・シングルコイルの様な
少し高域が弱くなるという印象ですね。
ギターに搭載されている場合はパッと見ただけでは
見分ける事が非常に難しいと思います。
カバーを外すと2つのコイルが縦積みになっているので
一目瞭然で判別出来ますが、ギターに載ったままで見分けようと思うと、
やはり歪みを深くしてノイズの大きさで判別する無いでしょうね。
ギターショップなどでの試奏であれば、
仕様が書いている場合がほとんどですし、店員に聞くのが
早いでしょうね。
現在はP-100自体は販売終了となっていますが、
中古ギターを購入する時は注意しましょう!
ちなみに、ギブソンからはH-90と言うハムキャンセルP-90が
グリーン・デイのギターボーカルである
「ビリー ジョー アーム ストロング 」氏のシグネイチャーモデルに
搭載された事もありますが、
ハムキャンセル・タイプのP-90は、
ギブソン以外のリプレイスメント・ピックアップメーカーから
のみ出されているのが現状です。
P 90搭載の代表的なギター
ここからは、P-90搭載の代表的なギターと愛用者を
見ていきましょう。
ギブソン・レスポール・ジュニア
ギブソンのスチューデント・モデルのジュニアには、
ドッグイヤータイプのP-90がリアに一基マウントされています。
非常にシンプルな潔い造りながら、独特のイナタイ音に
未だに人気の高いモデルです。
動画はシングルカッタウェイですが、タブルカッタウェイの
モデルも存在します。
古くはマウンテンのレスリー・ウエスト氏、
ニューヨーク・ドールズのジョニー・サンダース氏など、
他にもグリーンデイのビリー・ジョー・アームストロング氏、
アジアン・カンフー・ジェネレーションの後藤正文氏など
ロックなギターボーカルに愛用される事が多いギターですね。
ギブソン・レスポール・スペシャル
基本的にはレスポール・ジュニアと同じ構造ですが、
ソープバータイプのP-90がリアとフロントに搭載されています。
リア単発でジュニアとスペシャルでも微妙に音が違うのは、
ピックアップのカバーのせいだと言う意見もあるようですが、
ドッグイヤーもソープバーも中身は全く同じモノなので、
恐らく木部のザグリのある無しの影響と思われます。
こちらもジュニアと同様にダブルカッタウェイのモデルが
存在します。
ボブ・マーリー氏、ジョン・レノン氏や
キース・リチャーズ氏などレジェンド達の愛用で知られますが、
国内では奥田民生氏やバンプオブチキンの藤原基央氏、
アジアンカンフージェネレーションの後藤正文氏、サンボマスターの
山口隆氏など、
やはりギター・ボーカルの愛用が目立ちますが、
影響力の高いアーティストが使用してからは日本のキッズからも
未だに高い支持を得ているモデルだと言えるでしょう。
ギブソン・レスポール・スタンダード
所謂ゴールドトップ期と呼ばれる50年代中期の
レスポール・スタンダードにもP-90が搭載されていました。
57年以降からバースト期はハムバッカー搭載に変更され、
そちらの方が人気は高いですが、P-90搭載モデルも未だに
高い人気を誇ります。
ちなみに、1954はストップテイルピースバーブリッジでしたが
1956年からはチューン・オー・マティック・ブリッジへと変更され、
1968年にも、ゴールドトップのP-90モデルが
リイシューされた事からも根強い人気があったのが分かりますね。
愛用者として、
シンガーソングライターのニール・ヤング氏はアコギや
グレッチを持つ姿の方が印象的かも知れませんが、1953年製で
ビグスビー搭載のレスポール・スタンダードを愛用しています。
国内に目を向けると斉藤和義氏のシグネイチャーモデルは
リア一発搭載のゴールドトップという一風変わった仕様と
なっています。
他にもブルースギタリストのフレデイキング氏やジョニーウィンター氏、
ボストン・トム・ショルツ氏や国内のロックバンドではGLAYのTAKURO氏が1
955年製、ラッドウィンプスの桑原彰氏は1968年製のゴールドトップを
用しています。
ギブソン・レスポールカスタム
レスポール・カスタムと言えばハムバッカーが搭載モデルの方が
一般的ですが、1954年にはリアにP-90、フロントに通称「アルニコⅤ」こと
P-480が搭載されたモデルが存在します。
P-480(ALNICOⅤ)
P-480は1953年にギブソン社で開発されたピックアップです。
P-90のバリエーションモデルと言う訳では
無いですが、P-90と、ほぼ同じ大きさのケースに納めら
通称「アルニコⅤ」と呼ばれています。
PAFと呼ばれるハムバッカー「P-490」が発売される事には、
ほぼ見かけなくなるという非常に短い期間のみの製造でした。
四角いアルニコⅤマグネットがポールピースとなっていて、
ネジによる高さ調整が可能です。
搭載されているピックアップを見るとP-90との違いは
ポールピースの形状のみと感じますが、実は内部構造も、
かなり違っているらしく、
暖かみを持ちながらもクリアでブライトを持つ独特なサウンドと
評価されていて、生産コストが高い事もあり、
一部の高級モデルのみに搭載されていたようです。
また、ケースの大きさは同じ位でも、
ピックアップ本体の高さはP-90よりはるかに高いので
取り付けるには加工が必要になる事もあるようです。
ポールピースの形状がホチキスを止めた跡のように
なっている事から、ステープルソープバーとも呼ばれる
事もあります。
ノンリバース・ファイヤーバード
ファイヤーバードと言えばミニハムバッカーのイメージが
強いのですが、ノンリバースヘッドのファイヤーバードⅠ、Ⅲに
P-90が2個または3個搭載されています。
カバーの穴から固定されているダイレクトマウントのモデルと、
一見、ソープバーでもドッグイヤー用のベースプレートを併用することで、
ピックガードから吊り下げられている個体もあります。
SG スペシャル
レスポール同様にSGジュニアにはドッグイヤーが1基、
スペシャルにはソープバーのP-90が2基、搭載されてます。
1970年代にはミニハムバッカーに変更されました。
SGの薄いマホガニーボディの鳴り方とP-90のミドルの強い
ガツガツとしたサウンドは非常に相性が良いと
管理人は感じます。
ラージピックガードのモデルに関しては、
こちらもファイヤーバードと同様にピックガードマウントと
なっていました。
ブラック・サバスのギタリスト、トニー・アイオミ氏は、
初期の頃、1965年製のSGスペシャルでご機嫌なメタルサウンドを
奏でていました。
ギブソン・ES-330
ギブソン社の代表機種であるES-335と比較される事がありますが、
こちらはP-90搭載でセンターブロックが無いフルアコ構造のギターです。
奥田民生氏のビグスビー搭載のES-330がギブソン社から、
シグネイチャーモデルが販売されています。
Epiphone CASINO
前述のES-330と同様にセンターブロックのないフルアコ構造と
P-90ピックアップが2基搭載されたモデルです。
アーチトップのフルアコほどの容積は無いですが
心地よい箱鳴り感とP-90の歯切れの良いトーンからフロントの
甘いサウンドはバッキングのみならずリード・ギターにも最適。
ビートルズのメンバーの愛用によって、
ギターでギブソン ES-330と似た構造ながらCASINOの方が
世界的にも人気が高い様ですね。
P-90搭載のフェンダー系ギター
ストラトにP-90が搭載れたモデル
ルナシーのスギゾーモデルとしてESPから販売されている
モデルはストラトのリアにP-90、フロントにアルニコⅤ(P-480)が
採用されています。
恐らくスギゾー氏が所有している1956年製のレスポール・カスタムの
サウンドを気に入っての仕様と思われます。
ESPのみならず関連メーカーであるNavigatorやEdwardsからも
似た仕様のギターが販売されています。
他にもP-90搭載のストラトであれば、
国産メーカーのFUJIGEN・NST12RALはP-90が2基、
Tokai AST-GP-PSPはP-902基とセンターにシングルコイル、
YAMAHA・PACIFICA 331Hと661はフロントにP-90、リアに
ハムが搭載されたモデルなどが販売されています。
リミテッドモデルやワンオフモノであれば、
フェンダーカスタムショップやサーなどのハイエンドギターでも
チラホラ目にする事もありますね。
あまり、管理人の周りにはP-90搭載のストラトを持っている
プレーヤーは居ませんが、ある程度の需要はあるのだと思われます。
P-90搭載のテレキャスター
テレキャスターのフロントピックアップをP-90という仕様も、
意外と人気があります。
動画はフリーダムカスタムリサーチのグリーンペッパーですが、
シンライン構造です。
他にもフロントにP-90搭載のソリッドギターなら
Psychederhythm(サイケデリズム)のSTANDARD-Tや
Fender FSR MIJ Hybrid 60s Telecaster P-90 、
Bacchus TACTICSシリーズ、Tokai ATE120Sなど
リアもP-90のモデルであれば、
Moonギターのレゲエマスターが有名ですが、
他にもフェンダーモダンプレイヤーシリーズの
シンラインデラックスもP-902発です。
また、P-90スタイルのオリジナルピックアップの
機種ですが、G&L、ASAT Specialも個性的なモデルですね。
ストラトもテレキャスもP-90搭載モデルは、
ギブソンをイメージするのかマホガニーネックや
ボディのモデルも多いのが印象的ですね。
P-90搭載のPRSギター
PRSのマッカーティー594は通常モデルはハムバッカーですが、
ソープバーバージョンが販売されています。
ピックアップの採用でPRS流のゴールドトップ期のレスポールの再現でしょうか?
PRSらしいカチっとした音が気持ち良いですね!
レギュラーラインでは無いですが、P-90が3基搭載されたカスタム22。
ルックスのインパクトもさることながら、非常に個性的なギターですね。
リミテッドエディションでメイプルネックのバージョンもあり、
そちらは更にバキッとしたサウンドです。
このモデルはデイヴィッド・リー・ロス・バンドに参加した事もある、
日本人ギタリストのtoshi hiketa氏が愛用しています。
他にもマッティーソプバーやSE ソープバーシリーズや、
SE ONEもP-90搭載のPRSです。
SE以外のモデルはSeymour Duncan製のP-90が搭載されています。
では、ここからはP-90にピックアップ交換する為に、
ちょっとした注意点をまとめていこうと思います。
P 90ピックアップの交換方法と注意点!
P-90は非常に個性的なピックアップで、ほとんどのピックアップとは
サイズ的にもネジ穴の位置的にも互換性がありません。
唯一、サイズの互換性があるのがレスポール・デラックス用の
ミニハムバッカーです。
なので、ほとんどの場合はザグリを広げたり埋め直しをしたり、
ネジ穴をあける事が必要不可欠となります。
この事から、P-90以外が搭載されたギターにP-90を載せ替えようと
すると大工事になる事が多く大きな費用がかかる事もある上に、
元に戻すのも簡単には出来ないので注意が必要です。
ストラトにP-90ピックアップを搭載するには?
ストラトにP-90を搭載する場合にはピックアップキャビディの
開け増しとピックガードの加工と配線が必要になります。
とりわけ大変なのがザグリ増しですが、上記の弁当箱タイプ言われる、
タイプのボディであれば、ピックガード加工だけで交換する事が出来ます。
ただ、ピックアップのマウント方式の違いなど、
簡単に交換とは言えないですね。
テレキャスにP-90ピックアップを搭載するには?
テレキャスターにP-90を搭載する場合は大抵がフロントに
搭載される事が多くリアへの搭載はブリッジの構造上かなり
難易度が高いと言えるでしょう。
フロントピックアップのみP-90にする場合は、
フロントのザグリ穴の拡大とピックガードの加工が必要なので、
こちらもかなり大変ですね。
ジャズマスターピックアップとP-90の互換性はある?
ジャズマスター用のピックアップとP-90は形状が似ていることから、
互換性があると思われている事が良くありますが、
実際にはケースのサイズもポールピースのピッチも、
違うので互換性はありません。
無理やりネジ止めして搭載するとキャビディに隙間が
出来てしまうと思われますね。
P-90、ポットの抵抗値とコンデンサの適正な値は?
ギブソンの正規品ではP-90には、
- ポット抵抗値 = 300KΩ
- コンデンサ値 = 0.022μF
となっていますが、これも絶対的な数値では無く、
好みで変更している場合も多くある様です。
抵抗値もコンデンサも値を変える事でサウンド傾向が
変化しますが、動作自体には問題はありません。
具体的に言うのであれば、音が温く感じるならハムと同じ500KΩに、
逆に音がキンキンすると感じるなら250KΩに変更すると良いでしょうね。
コンデンサは容量の値を変える事でトーンの効きが変わりますが、
コンデンサの種類や耐圧の値などでも微妙に音が変わります。
管理人は知人のリペアマンからP-90であれば、
0.033μFから探ってみれば良いのでは?と以前にアドバイスを
された事がありますね。
P-90ピックアップのノイズ対策はコレ!
シングルコイル特有のハムノイズの対策としては、
フェンダー系ギターと同様にキャビティ内に導電塗料を
塗る「シールディング」が有効と言えるでしょう。
ただ、ハムキャンセル効果ほどの絶大なノイズ抑制作用は
ないのと多少の音質の変化があるので、激しく歪ませるジャンルで、
P-90をガンガン使いたい時以外は、管理人的には
あまりオススメはしませんね。
P-90からP-90へのピックアップ交換方法は超簡単?
P-90を別のピックアップに交換するのは非常に簡単です。
本体の正面の固定ネジを緩めて外して新しいピックアップを
ネジで固定すればOKです。
おすすめP 90リプレイスメント・ピックアップ
ここからはリプレイスメント用のオススメP-90ピックアップを
紹介していきます。
お手持ちのギターのサウンドが何か気に入らない時にピックアップを
交換することで理想のサウンドに近づくかも知れませんので、
各メーカーの特徴を見ていきましょう!
Seymour Duncan vintage SP90-1
まずは老舗ピックアップメーカーのセイモア・ダンカンから、
レギュラーラインの3種類を紹介します。
ヴィンテージSP-90-1はラインナップ中で最も、
ローゲインですが、その名の通り1946年製のギブソンP-90の
再現を狙ったモデルです。
スペックとしては、アルニコ5マグネットが採用されていて、
ワイヤーにはプレーンエナメル皮膜が選択されています。
直流抵抗値は、
- フロント:8KΩ
- リア :9.7KΩ
となっていてトーンチャートが
- TREBLE:7
- MIDDLE:5
- BASS :5
とハイ上がりな印象ですがP-90特有の
ザラついた質感の中域とグラッシーな高域が
大きな特徴となっています。
Seymour Duncan HOT SP90-2
セイモア・ダンカン・ホットSP90-2は、
ヴィンテージと比較してワイヤーの巻き数を増やし、
セラミックマグネットを採用することで、
ハイパワー化を狙ったモデルです。
直流抵抗値は、
- フロント:12KΩ
- リア :15KΩ
トーンチャートは、
- TREBLE:5
- MIDDLE:6
- BASS :6
となっています。ピークはハイミッドに持ちつつも
豊かな低域を持つ事がこのモデルの特徴と言えるでしょう。
Seymour Duncan CUSTOM SP90-3
ダンカンのP-90シリーズ中で最もハイパワーなモデルが
カスタムSP-90-3です。
大きな特徴はラージマグネットと呼ばれる50年代仕様の
やや長いセラミックマグネットが採用されている事です。
直流抵抗値は、
- フロント:12KΩ
- リア :14.6KΩ
トーンチャートは、
- TREBLE:6
- MIDDLE:5
- BASS :6
引き締まった低音域と抜けの良い高域で
ややフラット気味なミドルのハイパワーながらも
スッキリとした音像が特徴のモデルです。
Seymour Duncan ANTIQUITY P90
ダンカンの手巻きハンドメイドの製の
アンティクイティシリーズからはAQ-P90が
ラインナップされています。
ズバリ、ヴィンテージの1952年のゴールドトップの
個体のサウンドを狙って材質にも見た目にも拘ったモデルです。
スペックとしては、アルニコ2マグネット、
ワイヤーにはプレーンエナメル比較のタイプが採用されています。
直流抵抗値は、
- フロント:7.8KΩ
- リア :8.6KΩ
となっていてトーンチャートは、
- TREBLE:6
- MIDDLE:5
- BASS :5
となっています。ギブソンらしいファットな中域を持った
ヴィンテージライクなP-90なら、このモデルが良いかも知れないですね。
エイジド加工されたカバーとポールピースは、
古いギターに搭載しても違和感無くハマりそうです。
ドッグイヤーカバーのバージョンもラインナップされています。
DiMarzio DP280 Vintage P90
DP280はディマジオが1950年代後半頃の
P-90サウンド再現を狙ったモデルです。
スペックとしてはヴィンテージらしさを出すために
独自の技術による弱った磁力のアルニコ5マグネットが採用され、
カスタム設計のワイヤー巻き機を使い、
50年代ギブソンに習ってロウ付けは無しと細かなパーツや
製法にも拘っているモデルです。
直流抵抗値は8.12KΩとなっていて、トーンチャートは
- TREBLE:5
- MIDDLE:5.5
- BASS :5
で出力は287となっています。
2019年に発売された新モデルである事から
評価や口コミなどの情報は、あまり見ないですが、
メーカーアナウンスではバイト感のある中域と深みのある
サウンド傾向を持つようです。
ビートルズからレスリーウエストまで
ヴィンテージサウンドが欲しいなら選択肢の一つとなる
モデルですね。
DP280Sがソープバー、280Dがドッグイヤーカバーと
なっていて、黒とクリーム色から選択可能です。
DiMarzio DP167
ディマジオ流の古めのサウンドを狙ったP-90として
DP167がラインナップされています。
スペックとしては、セラミックマグネットが採用され、
直流抵抗値が8.6KΩとなっていて、トーンチャートは、
- TREBLE:5.5
- MIDDLE:6.0
- BASS :4.5
となっていて、出力は270となっています。
やや高域を押さえローミッドの押し出し感のある
サウンドはリアピックアップにマッチしそうですね。
DP167Sがソープバー、167Dがドッグイヤーカバーと
なっていて、黒とクリーム色から選択可能です。
Lindy Fralin P-90
米国ヴァージニア州のハンドメイドブランド
リンディーフレーリンのP-90は米国産の拘りのパーツを
使ったピックアップを手巻きで作るメーカーです。
P-90のスペックとしては、アルニコ4マグネット、
42AWGのプレーンエナメル皮膜ワイヤーが採用されていて、
直流抵抗値が、
- フロント:7.2KΩ
- リア :8.2KΩ
トーンチャートが
- TREBLE:4.5
- MIDDLE:6
- BASS :5.5
- output:7.5
タイトでメリハリのある低域と粘りのある図太いミドル、
透き通った高音域と古き良きヴィンテージサウンドを狙った
モデルです。
管理人はリンディーのP-90は試した事は無いですが、
全般的にレンジが広いのにブーミーになりにくくクリアで
実音が強い印象ですね。
ちなみに3PU仕様も想定しているらしく、
センター用のリバースワイヤリングも販売されていて、
500KΩのポットがメーカーからは推奨されています。
カバーはソープバー・ドッグイヤー共に黒とクリーム色の
定番以外にニッケルカバーからも選択可能です。
Rio Grande JAZZBAR BLUSEBAR
米国はテキサス州のハンドメイドメーカー
リオ・グランデからはP-90ピックアップとして、
JAZZBARとBLUSEBARがリリースされています。
メーカー的にはJAZZがフロント用でBLUSEがリア用として
使う事を推奨しています。
スペックとしてはアルニコ5マグネット採用で、
直流抵抗値が
- JAZZBAR :10.5KΩ
- BLUESBAR:12.5KΩ
となっています。
BARがソープバーでドッグイヤータイプは、
DAWGと表記されています。
ルドルフ・シェンカーの使用でいっとき話題となった
モデルでワイルドでパワフルなサウンドが持ち味と言われています。
VANZANDT P-90
リオ・グランデ同様にテキサス州に工房を構える、
ヴァンザントピックアップもハンドメイドブランドからも
P-90が販売されています。
ヴァンザントはスティーヴィー・レイ・ヴォーンが
愛用したストラト用ピックアップで名を馳せたブランドですが、
ハムバッカーやP-90も地味に評価が高いです。
初期レスポールのP-90サウンドを狙ったモデルですが、
ヴァンザント流のローノイズ化と独特の味付けがされている
モデルと言われています。
ハムキャンセルP-90
ハムキャンセルP-90ギブソンP-100と同様にスタック構造にすることで、
ハムキャンセル効果を得たローノイズなP-90スタイルのピックアップです。
各メーカーがローノイズ化しながらもシングルコイルの持つ味を
活かしたサウンド傾向を目指し様々な企業努力をしています。
Seymour Duncan P-90 stack STK-P1
セイモア・ダンカンSTK-P1はスタック構造の
P-90ピックアップです。
スペックとしては、アルニコ5マグネット採用で、
直流抵抗値は、
- フロント:21.4KΩ
- リア :31.6KΩ
トーンチャートが
- TREBLE:6
- MIDDLE:6
- BASS :5
ハムキャンセル効果によるローノイズ化はもちろんの事、
4芯ケーブルを利用することでコイルタップによる、
疑似シングルサウンドや、
直列接続によるハイパワーな音などサウンドバリエーションも配線によって広げる事も可能です。
縦積みスタック構造なので、従来のP-90よる厚みがあるので取り付けの際は注意が必要ですね。
Lindy Fralin Hum Cancelling P-90
リンディーフレーリンからもハムキャンセルP-90が
販売されています。
スペック的には、メイドインUSAのネオジウム・マグネット、
AWG43のポリナイロン皮膜のワイヤーが採用されています。
直中抵抗値は、
- フロント:15.5KΩ
- リア :16.7KΩ
で、トーンチャートは
- TREBLE:4.2
- MIDDLE:6
- BASS :5.5
で出力は7.5となっています。純粋なシングルと比較すると
やはり高域が丸くなってしまう傾向にはありますが、
ローノイズでハイパワーさが魅力と言えるでしょう。
動画で見れるフェイズサウンドとブレンダーポットを使った
多彩なサウンドなど面白い使い方が出来るモデルとも言えるでしょう。
ハムバッカーサイズP-90
ここからはP-90ピックアップをフルサイズハムバッカーに
ぶち込んだハムサイズP-90を紹介いたします。
サイズが大きく違ってしまうことでサウンドに影響を与えると
言われるボビンの形状が変わってしまうので、
厳密にいうとP-90サウンドをシュミレートした
ハムバッカーと考えた方が良いかも知れませんが、各メーカー毎に
P-90サウンドに近づける為に技術を駆使しています。
ハムバッカー搭載のギターでP-90サウンドを手軽に試してみたいなら、
まずはコレでしょう!
Seymour Duncan Phat cat SPH90-1
セイモア・ダンカンからはPhat cat SPH90という
ハムサイズP-90がリリースされています。
スペックとしてはアルニコ2マグネットが採用され、
直流抵抗値は
- フロント:8
- リア :8.5
でトーンチャートが
- TREBLE:7
- MIDDLE:5
- BASS :6
となっています。ハムバッカーで再現出来ない
グラッシーなハイエンドとP-90独特の噛み付くような
ガッツのある中域を持ちながらも、
メタルカバーによって、若干ローノイズになっているのも
ポイントが高いですね!
管理人の知人のレスポールのフロントにSPH90搭載の
ギターを触った事がありますが、キレの良さと抜けは格段に
良かったです。
ただ、P-90搭載のレスポールと比較すると、
若干、甘くまろやかな音が出しやすい印象を持ちました。
ちなみにカバーはニッケルとゴールドの2つのカラーから
選択することが可能です。
まとめ
如何でしたでしょうか?シングルともハムとも違ったP-90ですが、
魅力的で面白いピックアップだとお分かりいただけたかと思います。
音的にシングルは非力で細すぎるしハムは抜けが悪い…と
感じているのであれば、P-90ピックアップを一度試してみるのも
良いかも知れませんよ。
この記事が、あなたの理想のギターサウンドへの
近道になれば幸いです。
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