Photo by Dave Fey
どうも、指1管理人です。
今回はフェンダーテレキャスターの中でも特に人気の高い通称「テレカス」こと、テレキャスターカスタムの歴史や年代別のスペックの違いから現行品ラインナップなど、深堀りした内容をまとめています。
フェンダー・テレキャスターカスタムの特徴や音の傾向などを知りたい方は、是非ともご一読を!
この記事を読んで分かることは目次を参考に、ではでは、早速いってみましょう!
テレキャスターカスタムの特徴と歴史!
テレキャスターカスタムはフェンダー社から、1972年に発売されて1982年に生産終了した、テレキャスターのバリエーションモデルです。
エレキのヴィンテージ市場では50年代~60年代のものが絶大な価値を持っていますが、近年では70年代のエレキギーの価格が高騰しているのが現状ですね。
実は、フェンダー社からは、1959年に発売され69年には生産中止になった、カスタムテレキャスターが元ネタ?とも思われていますが、スペックを見る限り「カスタム」と言う名前が同じなだけで全く別物のギターと考えた方が良いですね。
そんな70年代のテレキャスターの代表機種ですが、普通のテレキャスターとのスペック上での、大きな違いを見ていきましょう!
テレキャスターカスタムとテレキャスターの違い
テレカス、音の要?フロントピックアップがハムバッカー化!
最も大きな特徴としては、テレキャスターシンラインに先行して搭載されたフェンダー初のワイドレンジハムバッカーと呼ばれる、ピックアップをフロントに搭載しています。
これにより、従来のトレブリーなリアとウッディーなフロントと言う元来持っていたギャップのあるサウンドが、ハムバッカーの図太くもあたたかいサウンドによりリアとのキャラの違いは更に顕著になりました。
元々、個性的で多彩な音色をアウトプットするテレキャスターですが、フロントハムとシングルの組み合わせのハーフトーンも面白い音で、これじゃないと!と言うファンが多い理由とも言えるでしょう。
実は管理人は、所有のテレキャスターはフロントピックアップをチャーリー・クリスチャンピックアップに交換しているんですよ。
実際にフェンダーカスタムショップのマスタービルダーのインタビューでもテレキャスを改造するならフロントピックアップと言っていた記事を過去に見た記憶がありますし、ローリング・ストーンズのギタリスト・キース・リチャーズもヴィンテージテレのフロントをハムに改造しています。
これらの事から考えるに、フェンダーテレキャスターにはフロントピックアップの音をなんとかして欲しいと感じる、ユーザーのニーズが一定数あったことは想像ですますね。
↑1977年製テレキャスターカスタムこと、テレカスを弾きまくっています。軽く歪ませたオーバードライブサウンドがバッチリハマっていますね!フロントとリアのキャラの違いも分かりやすい!
テレカス、ピックガードを大型化でルックス激変!
ボディーの半分以上を覆う巨大なピックガードによりルックスの印象も大きく変わりました。
従来のテレキャスタのフロントは、木部にネジ止めしたダイレクトマウントでしたが、カスタムではピックガードに固定しブラ下げるストラトキャスターと同じ固定方法になります。
音への影響としては、マウント方式による音の違いもあるかも知れませんが、ハムバッカーへの変更のインパクトが一番大きいでしょう!
2ボリューム、2トーン、3ウェイ・トグルスイッチ
完全にギブソンレスポールを意識したスペックだと言えるのが、2ボリューム・2トーンと3ウェイ・トグルスイッチの採用です。
トグルスイッチの位置取りも従来のテレキャスターとは、うって変わりレスポールと同じ位置の6弦側のネックジョイント付近になっていますね。
また、リアとフロントに個別にボリューム・トーンが割り当てられているのでスイッチング奏法はもちろん、リード・バッキングの音量を設定したり、リア&フロントのミックスの音での細かな微調整も可能になっています。
70年代フェンダー特有の三点止めネックプレートとマイクロティルト機構
70年代のフェンダーギターに多く採用された新技術でもある、
- 三点止めの三角形ネックプレート
- ネック角度調整可能なマイクロティルト機構
- ネックを外さず調整可能なブレッドトラスロッド
がこのモデルに採用されています。
↓参考画像↓
通常ラインのテレキャスはストラトに、この仕様が採用された時も4点止めのままだったので、ルックス的にもトラッドなモデルとは、一線を画する印象になるでしょう。
このネックの仕様に関しては、メンテンス面で言えば、大きなアドバンテージがある反面、デメリットとして、4点止めより強度的には不安で、センターズレが起こりやすいとも言われています。
ちなみに管理人が過去所有した3点止めネックのギターでは、センターズレを起こした事は無いので、大事に使って適度にメンテをすれば、過度な心配は不要だと考えています。
ヴィンテージ市場を見る限り、基本はメイプルワンピースネックですが稀にローズウッド指板もあり、ボディー材に関してはアッシュが多く、年代に関係無くアルダー材の個体もヴィンテージ市場では、チラホラ見かけますね。
また、70年代後半のアッシュボディの重量が重いことが多く、ソリッドでサスティーンの効いたサウンド傾向とも言われています。
テレカスとカスタムテレキャスターとの違い!
ここからはテレキャスターに「カスタム」の名を冠したモデルである、カスタムテレキャスターの特徴を解説します。
元々はこちらの、モデルがテレキャスターカスタムとしてフェンダー社からは発売されていました。
先程紹介したフロントハムのテレキャスターカスタムより古くからあるモデルで、1959年からラインナップされています。
今となっては、こちらのモデルとフロントハムのモデルを混同しないように、
- フロントハム = テレキャスターカスタム(テレカス)
- 2シングル = カスタムテレキャスター
と呼ばれることがありますよ。このサイトでも混同してしまわないように古い方をカスタムテレキャスターと呼ぶことにしますね。
このカスタムテレキャスターは当時としては、一風変わった仕様となっています!
メイプルネックにローズウッド指板が採用されています。
フェンダーの他のビンテージギターと同様に、59~61年はローズウッドが厚いスラブボードで、62年以降はラウンドボードとなっています。
また、66年から通常のテレキャスと同様に貼りメイプル指板仕様が少ないですがオプションとして登場します。
貼りメイプルは生産本数も少なくヴィンテージ市場を見ても、ほとんど出てこない激レアスペックと言えるでしょう!
ボディー材に関しては、アルダー材とサンバースト塗装が採用されていますが、こちらはより高級感のあるバインディングがボディーの表と裏両方に貼られた仕様となっています。
ちなみにフェンダー社初のバインディング仕様のギターとなっていますが、アコギの老舗ブランドである、「マーティン社」から技術提供を受けたと言う逸話もあるそうですね。
他のスペックに関しては、ヴィンテージテレキャスターの同年代のスペックと同じですが、アルダー材の特徴である、中域の粘り感とローズウッド指板特有のアタック感や音の太さに特徴があり、メイプル&アッシュの定番テレとは違ったサウンドとルックスに根強いファンが居るモデルです。
前述のテレカスとは、製造された年代の時代背景も違い、恐らく設計者の狙った方向性も大きく異なるでしょう!
50年代を代表するような、アッシュボディ・メイプルワンピースネックのテレキャスと比較すると、良い意味でレンジが狭くエレキギターの美味しい成分に寄った心地よいサウンドですね!
ルックス的にはサンバーストカラーに映えるバインディングが個人的には渋くて好みです。
テレキャスターカスタム使用者や愛用ギタリスト
キース・リチャーズ / ローリング・ストーンズ
ローリング・ストーンズのギタリストである、キース・リチャーズ氏と言えば、50年代のテレキャスのフロントにギブソン社のPAFハムバッカーを搭載したミカウバーとマルコムが有名ですが、1974年製の黒いテレキャスターカスタムの6弦を外して5弦ギターとして愛用しています。
テレキャスターカスタムと言えばキース氏という位に、ギターを構えた姿が決まっていますね。
キース・リチャーズ氏の影響なのかは不明ですが、テレキャスターカスタムはロッケンローラーに愛用者が多い印象です。
The Edge / U2
ディレイや空間系を駆使したプレイが印象的な、U2のギタリスト・ジ・エッジ氏はストラトのイメージが強いですが、テレキャスターカスタムを持つことも稀にあるようですね。
海外のネット掲示板では、1975年製のテレキャスターカスタムを持つジ・エッジ氏の姿を懐かしむ声もあったようでした。
↑のPVで黒のテレキャスターカスタムを持つジ・エッジ氏の姿が確認できますね。
トム・ヨーク / レディオヘッド
UKロックの大御所、レディオヘッドのギターボーカル「トム・ヨーク」氏もサンバーストカラーにステッカーを貼ったテレキャスターカスタムを使用しているアーティストの一人ですね。
ただし、現在ではリアピックアップもハムバッカーに改造してしまい、ほぼテレキャスターデラックスと同じ仕様となっているようです。
ミック・グリーン
英国のロックンロールバンド「ザ・パイレーツ」のギタリスト、ミック・グリーン氏も1972年製のヴィンテージ・テレキャスターカスタムをメインギターとして愛用していました。
カッティングなどロックなリズムギターが持ち味で、センスの良いギタリストですね。
テレキャスター使いはカッティングやバッキングが絶妙なプレイヤーが多い印象です。
ラッセル・リサック / ブロックパーティー
英国のロックバンドであるブロックパーティーのギタリスト「ラッセル・リサック」氏もテレキャスターカスタムの愛用者ですね。
フェンダーの現行品の72年モデルでこれまたステッカーを貼って個性的なルックスに仕上げています。
エレクトロニカなビートとエフェクティブなギターが魅力のバンドですね。
英国のロックバンドに愛用者が多いのもテレキャスターカスタムの特徴と言えそうです。
ブロディ・ドール
パンクバンド「ディスティラーズ」のフロントマンでギターボーカルのブロディ・ドール氏もテレキャスターカスタムを愛用しています。
ブロディ・ドール氏はパンクバンド「ランシド」のティム・アームストロング氏と過去に結婚していることで有名ですね。
女性パンクロッカーが抱えると本当に渋いでは無くカッコイイ!
テレキャスターカスタム使いの日本人ギタリスト
アベフトシ / ミッシェルガンエレファント 愛用のseen製テレキャスターカスタム
元ミッシェルガンエレファントのギタリスト、アベフトシ氏は東京にある松下工房のブランド、seenのテレキャスターカスタムタイプのフロントにハムバッカーが搭載されたテレキャスターをメインギターとして愛用していました。
黒のボディにテレキャスターカスタムらしい大きな赤っぽいべっ甲柄のピックガードはキース・リチャーズ氏のテレキャスターカスタムとは違った趣のルックスになりますね。
また、コントロール系統は2ボリューム・1トーンとなっていて、2つ目のトーンポットの穴には、3ウェイトグルスイッチになっています。
マスタートーンにはスカル(髑髏)のノブに変更され見た目的にも、使いかっての意味でも自分流にカスタマイズされている個性派ギターなんですよ。
ワイルドな高速カッティングがトレードマークのアベフトシ氏のプレイはテレキャスターが本当に似合います。
フェンダー・テレキャスターカスタムの種類と現行ラインナップ
Fender American Original 70s Telecaster Custom
フェンダーUSA、現行品の最新ラインナップは、アメリカン・オリジナル70’s・テレキャスターカスタムです。材は、
- メイプルネック
- 指板はメイプル 又はローズウッドを選択可能
- アルダーボディ
オリジナル70の名前の通り、70年代のテレキャスターを再現に力を入れているモデルで、マイクロティルト付きの3点止めネックプレートとバレット型のトラスロッドナットが搭載されています。
特筆すべき点は、ワイドレンジハムバッカーへの拘りで、入手困難と言われるオリジナルとクニフェ・マグネットを惜しみなく使ったピックアップですね。
ピックアップの開発はフェンダー社が誇るチーフエンジニアのティム・ショウが手掛けているので、70年代サウンドを求めるユーザーの期待に答える出音になってそうです。
70年代のフェンダーギターは塗装が分厚いポリでしたが、この現行モデルにはニトロセルロース・ラッカーが採用されているのも個人的には好感が持てますね。
カラーリングは、3トーンサンバーストと黄色み掛かったホワイトカラーのブロンドと、薄めのウォルナットカラーのようなモカの3種類が用意されています。
Squier (スクワイヤー)のテレキャスターカスタムは激安でコスパ重視?
Squier by Fender CLASSIC VIBE ’70S TELECASTER® CUSTOM
フェンダー社の廉価メーカーとして、知られるスクワイヤー(スクワイア)からの現行品テレキャスターカスタムを紹介します。
入門用ながらも、フェンダー社の独自技術を盛り込んだ本格的でコストパフォーマンスの高いモデルが多いのが魅力のメーカーですね。
スクワイヤーのテレキャスターカスタムの現行品「CLASSIC VIBE ’70S TELECASTER® CUSTOM」は、
70年代のテレキャスターカスタムの再現を狙ったモデルですが、ボディ材はポプラで、ネックプレートは4点止めとなってます。
ただし、
- ヴンテージライクなヘッドデザイン
- ワイドレンジハムバッカー含むピックアップはフェンダーデザイン
- 3連サドルブリッジ
とテレキャスターカスタムのポイントを押さえた仕様となっています。
カラーリングは、3トーンサンバーストと黒(ブラック)の2種類から選択可能ですが、指板はメイプルのみ、ピックガードは3プライの黒のみとなっていますよ。
70年代テレキャスターカスタムを取り敢えず試してみたい初心者~中級者にはおすすめのモデルと言えるでしょう。
中古で未だに人気のフェンダーメキシコ製テレキャスターカスタム
FENDER ROAD WORN FSR 72 TELECASTER CUSTOM
FSRとは、フェンダースペシャルランの略称です。
フェンダー社のレギュラーラインの製品では無く、楽器店から直接オーダーされた特別仕様のギターのことです。
FSRシリーズは、珍しいスペックながら手頃な価格だったこともあり、未だに中古市場でも人気のモデルが多いシリーズと言えるでしょう。
FENDER ROAD WORN FSR 72 TELECASTER CUSTOMは、恐らく、フェンダー社のレギュラーラインだった「Fender Mexico Classic 72′ Telecaster Custom」が元になっている機種と思われます。
70年代のテレキャスターカスタムのスペックを忠実に再現しつつも、フェンダーカスタムショップでは、お馴染みのレリック加工を思わせる、ニトロセルロースラッカー塗装のモデルです。
極薄塗装による鳴りの良さと、ヴィンテージを思わせる7.25Rの指板は、お手頃価格ながらヴィンテージ思考の方には良いモデルと言えるでしょうね。
テレカスのFSEシリーズには他にも、リミテッドエディションのfender fsr 72 telecaster custom bigsbyや、
日本では未発売ですが、fender fsr 72 telecaster custom P90’などが存在します。
P-90を思わせる「DE-9000 Black Dove」と言うピックアップをリア・フロント共に搭載したテレキャスターデラックスのようなモデルです。
独特のサウンドだけでは無く、ボディトップの白のバインディングも精悍なルックスで良いですね。
Squier by Fender Telecaster Custom Ⅱ P-90
P-90搭載のテレキャスターカスタムならスクワイヤーからも発売されていて、未だに人気の高いモデルがあります。
その名もズバリ「Telecaster Custom Ⅱ」です。
大きな特徴はリア・フロント共にセイモア・ダンカン製のP-90ピックアップが搭載されているタイプのモデルとなっていますね。
国産メーカーのMoon社から発売されているレゲエマスターを彷彿とさせる印象を管理人ですが、管理人もP-90とテレキャスタータイプのギターの相性は良いと感じていますね。
スクワイヤーの激安価格でテレキャスターにP-90ピックアップのサウンドを体感できると言うことで非常にお得感の高いモデルで中古市場でも未だに人気が高いモデルで売りに出されてもすぐに無くなってしまう印象です…。
ただし、コスパ重視のスクワイヤーの宿命か?ボディにはアガチス材が使われています。
テレキャスターカスタムまとめ
如何でしたでしょうか?
1970年代のバリエーションモデルとしてつくられたテレキャスターカスタムですが、いわゆるヴィンテージ系のトラディショナルなモデルとは、違ったコンセプトで設計されている事が分かると思います。
管理人も過去にカスタム、デラックス共に触った事はありますが、ぱっと見るとギブソン系を狙ったモデルと思いましたがサウンドはやはりフェンダー特有の歯切れの良さが印象的でした。
この記事が、あなたのギター選びの参考になれば幸いです。
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