photo byJoe Mabel

どうも、指1ギター管理人です。

今回はファンフレットとマルチスケール仕様のギターについて、
解説しようと思います。

ぱっと見ではブリッジとフレットが斜めにスラントしている
ギターという印象だと思いますが、どんなメリットやデメリットがあるのか?

詳しく解説していきますので、どうぞご期待ください。
では、早速いってみましょう!

ファンフレットギターの構造と特徴

ここからは、ファンフレット仕様のギターの構造と
特徴について解説していきます。

管理人はファンフレットと言う呼び名で知りましたが、

  • ファンドフレット
  • マルチフレット
  • 扇状フレット

と呼ばれる事もあるらしく、その名の通り扇状に打ち込まれた
フレットが見た目のインパクトも強く一部では、
話題沸騰中のギターとも言えるでしょう。

ですが、ファンフレットの楽器は、
もちろん見た目のインパクトだけ狙ったものでは無く、
サウンド面や機能上で非常に大きな意味を持ちます。

というのも、ファンフレットの楽器は一般的に、
マルチスケールが採用されています。

マルチスケールとは?

マルチスケールとは、低音弦と高音弦のスケールが異なる
構造を持った弦楽器
の事を指します。

現代音楽でマルチスケールのギターが人気を博しているのは、
ジェント系と言われるヘビーでラウンなサウンドを求める
ジャンルでは無いでしょうか?

各メーカーでも、ルックス面や電装系のチョイスでも
明らかにメタルよりな仕様が多い印象ですが、これは恐らく、

一時期にギターをダウンチューニングする事で
ヘビーなサウンドを求めるモダンヘヴィネス系の音楽が持て囃され、
次々とそっち系のバンドが世に出ていましたが、

更に過激なサウンドを求め多弦ギターによる
ダウンチューニングやギターにベースの弦を張ってしまうと言った
荒業を実践するプレーヤーによる試行錯誤が繰り返されました。

というのもそれらのジャンルを演奏するプレーヤーの間では
共通する悩みとして、低音弦の音の濁りと言うものがあった様なんですが、
それらの悩みを解消する為にアンプや重低音を再生する
キャビネットやエフェクターやピックアップなど様々な機材も
開発され販売されました。

また、スーパーロングスケールのバリトンギターや
エキストラロングスケールなどの通常よりスケールの長い
ギターを演奏するプレーヤーも現れました。

管理人的にはバリトンギターはネックが長くなり、
見た目があまり好みでは無いですが、
確かにスケール自体は延長されテンションが強くなることで、

低音弦側のダルダル感が解消され、
クリアで張りのある重低音を手に入れる事が出来た様ですが、
全てのスケールが長くなってしまいます。

この事で今度は高音弦側の演奏性やサウンド面が
犠牲になったと考えられていました。

バリトンギターはバリトンギターで良さはありますが…。
これをデメリットだと考え解消させる為に、

1弦には通常のギターに近いスケールが採用され、
弦が太くなるにつれて、徐々にスケールが長くなり、
最も太い弦ではバリトンギターなどにも採用される事が多い、

スーパーロングスケールやエキストラロングスケールを
採用することで、高音弦側は従来のギターと近い触り心地とサウンドを、
低音弦側には張りのある音を得ることが出来、

従来のギターやバリトンギターにおける、
悩みを解消するにはピッタリの構造だと言えるでしょう。

ただし、マルチスケールのギターに通常のギターの様に、
真っ直ぐのフレットを打つと細かい音程のピッチの面で
難が出ると言うことで、

正確なピッチを得る為にはファンフレットが必要になる訳なんです。

スケール実寸
スーパーロングスケール27インチ(686ミリ)
エキストラロングスケール26.2インチ(666ミリ)
26.5インチ(673ミリ)
ロングスケール(フェンダー)25.5インチ(648ミリ)
PRSスケール25インチ(635ミリ)
ミディアムスケール(ギブソン)24.75インチ(628ミリ)
ショートスケール24インチ(609ミリ)

ちなみに、上記がネックのスケールの実寸ですが、
バリトンギターでは28インチ以上の個体も存在する様ですね。

ファンフレットギターの歴史

このマルチスケール&ファンフレットのギターは歴史的に
確認されているモノだと1600年代のバロック時代と呼ばれた
時代の楽器にも採用されていた構造らしく、

エレキギターだけでは無くアコギやクラシックギターでも
見られる仕様です。

このファンフレットですが、
実質的には1989年に米国のカスタムギター工房
「NOVAX GUITARS」によって、

「Multiple Scale Fretboard」という名称で
特許を取得した事で世間的には認知されました。

2009年以降は特許期限の終了によって、
他社メーカーでも、このマルチスケールフレットボードシステムが
多く採用される事になった
訳なんです。

ただ、NOVAXのHPには他社メーカーによるコピーモデルは
同社ほどの正確なピッチのイントネーションは得れていないとも
書かれています。

発明者である「Ralph Novak」氏は幾つかのメーカーに
「Multiple Scale Fretboard」を製造する手ほどきもしている様で、
それらのメーカーにはFanned-Fretに登録商標記号である、
®マークが記載されているようです。

ですが、NOVAXギターのレクチャーを受けずに
マルチスケール&ファンフレットのギターを製造しているメーカーも、
今は増えているようで

各々メーカーが独自の解釈で切磋琢磨しているのが、
現状で絶対的に決まったパーツや設計図がある訳では無い様です。

ファンフレットの打ち込み方や採用されているスケールも、
通常のギターのような計算式があるわけでは無く、
まだまだ、過渡期なのかも知れませんね。

実際に管理人もファンフレットのギターを弾き比べて
見ましたがサウンドはもちろん、弾き心地も千差万別でした。

元祖マルチスケールの
NOVAXギターはジャズ系のアーティストとの
コラボモデルや割とトラディショナルな音楽性を目指しながらも
多機能な印象のブランドですが、

↑NOVAXギターのデモ演奏動画です。

現代のギター業界的にはファンフレットのギターと言えば
ジェント系と言われるラウドでヘヴィーなジャンルや
テクニカルなプレイヤーの代名詞となっている印象ですが、
今後どのような発展があるのか楽しみなギターですね。

↑Kieselの七弦ギターを使ったデヴィーで現代的なインスト。

では、ここからはファンフレットギターの持つメリットと
デメリットを考えていきましょう!

メリット

ここからは、ファンフレットのギターにおける
メリットを一般論で語られる事と管理人が実際に触った
印象を添えてあげていこうと思います。

1、テンション感の改善

構造の項目でも解説した通り、特に低音弦側の
テンション不足が解消されクリアで輪郭のしっかりとした
低音域の再生能力は従来ギターと比較しても
はっきりと分かる
違いと言えるでしょう!

実際に管理人も過去に7弦ギターを1音下げチューニングで
使用していた時には、ああでもないこうでも無いと
セッティングを見直し四苦八苦していた事を思い出しますが、

ファンフレット&マルチスケールのギターでは、
この辺りは、かなり改善されている印象を受けました。

ですが、高音弦側はこれまでのフェンダースケールに近い形状の
ギターが大半なので、まさにバリトンギターに不満を感じていた
プレイヤーにはうってつけのギターだと言えるでしょう!

7弦や8弦ギターなど多弦楽器に、
この仕様が多いのはテンション感の改善が
大きな理由であるのは間違い無いでしょうね。

2,チューニング適応能力の高さとピッチの正確さ

ファンフレット&マルチスケールが採用された事により、
ダウンチューニング含む、変則チューニングにおける、
オクターブ・ピッチのズレを従来ギターより調整によって
改善する事が可能となっている様です。

確かに過激なダウンチューニングの為に、
太い弦を貼るとオクターブ・ピッチが合わず
調整が大変だった印象がありますが、

オクターブ・ピッチの調整幅の拡大されている事もあり、
改善されている機種が非常に多いようですね!

6弦ギターで3音半下げという
荒業をしていた知人が居ますが、
かなり太い弦を張っていた様で調整が大変と
言っていたのを思い出しますが、
それらの悩みも恐らく解消されてるのでしょうね。

もちろん、ファンフレットの恩恵による、
各ポジション毎のピッチの正確さによるコード感の濁りを
排除したオープンで、活き活きとしたトーンも
大きな特徴と言えるでしょう!

ただ、この辺りはバズフェイトンシステムなどの
ピッチ感が良いとされるギターに関しても好みがある様に、
絶対的に万人が良いと感じるかは意見が分かれる所だと思われますが、
この辺りがギターの面白い所ですね!

やはり、ファンフレット&マルチスケールを採用したギターは
従来のギターとは、ある意味で違った楽器として扱うのが
良いのかも知れませんね。

3、均一化されたサウンドと調和的な倍音感

ある意味で各弦を独立させた様な独特なブリッジの構造により
ギターなのに鍵盤楽器を弾いたかの様な印象とも
言われるほどに、どのポジションであってもしっかりとした
鳴りを実現しています。

更なる恩恵として、不必要な共鳴や無駄な倍音などの
悪影響が排除され分離感の良い濁りの少ないサウンドを
得ることが出来ると言われています。

ヴィンテージ楽器などの様にプレーヤーが
楽器に合わせる必要がほとんどなくなる為に演奏面での
ストレスが減少すると考えられます。

ただ、そういう味のある楽器を長年弾き込んでいる
プレーヤーにはハイファイ過ぎるとか面白みが無いと
感じる事もあるようですね。

この辺りは好みの問題になるかも知れませんが、
従来のギターにストレスを感じているギタリストには、
試してもらいたいギター
と言えるでしょう。

デメリット

1、弾きにくい?

見た目のインパクト通りに、
従来のギターしか弾いた事が無いプレーヤーにとっては
最初は違和感を覚えると思いますが、
意外とすぐに慣れる
と管理人は感じました。

管理人はギター以外ではベースやウクレレも演奏しますが、
違和感に関してはウクレレよりは大きく
ベースよりは小さいと言う印象を持ちました。

ただ、製品による違いも大きいとも感じました。
管理人的には台形ネックで特許出願中のストランドバーグは
非常に弾きやすかった印象を持っていますが。
アイバニーズは最初は戸惑いました…。

ファンフレットのギターを管理人が弾き比べた印象を
まとめた詳しいレポート記事は以下にまとめてありますので、
興味がある方は以下よりどうぞ!

⇒ファンフレット・マルチスケール7弦ギターをガチで弾き比べてみた!

また、ファンフレットのギターでは、
一般的にはハイポジションではチョーキングや
ヴィブラートがやりやすくなる反面、
ローポジションでは揺らしにくと言われています。

ただ、管理人はその辺りは、そこまで気にならなかったですね。
特に多弦ギターだとネックの太さや形状の方がファンフレットより
演奏性に大きく影響を与えると思いました。

ファンフレットの斜め具合もプレイスタイルによっては
気になるかも知れませんが、こちらは意外と早く手が
慣れてくれる印象です。

従来型のギターでも購入の時は試奏は必須ですが、
ファンフレットのギターでの試奏は絶対に必要だと
思います。

初心者や一本目のギターとして、ファンフレットギターは
向いていないと言われますが、実は先入観の無いほうが
弾きにくさは感じないかも?と管理人は考えます。

2、調整が難しい

ファンフレットの歴史自体は短い訳ではありませんが、
実際に市場に出回っている数は多いとは言えないのが現状です。

リペアショップなどでもファンフレットギターの
フレットの打ち換えが出来ないショップもあるかも知れません。

また、細かな調整が可能なファンフレットギターは
様々な使い方が想定されますが、この辺りのノウハウを持っている
メーカーやリペアショップがそれほど多くないのも現状と言えるでしょう。

ですが、今後ファンフレットのギターは増えこそすれども、
減少していく事はあまり考えられませんので、
市場での成長とともに取り扱い可能なリペアショップも
出てくるのでは無いでしょうか?

ただ、ファンフレットの元祖である、NOVAXギターも
言っている様にマルチスケール・フレットボード・システムの
恩恵をしっかりと受けれない

モデルが市場に出回っているのも事実の様で、
商品をしっかりと選ぶ事も重要かと思われます。
あまりに安いモデルや評判の悪いモデルは、
気をつけた方が良いかも知れません。

実際にネット上でのリペアショップなどのブログを散見する限り、
デフォルトの状態があまりよろしく無い個体もあるようです…。

3、でかい…

低音弦側のスケールを延長した分の楽器の面積が必要になり、
実際に手に取るとゴツく重量が気になるモデルも多い印象です。

恐らく、こういった悪印象を軽減する為に
スタインバーガーの様なヘッドレスでボディーも
コンパクトなモデルが一部のメーカーから
投入されているのだと思われます。

マルチスケールの採用でネックのスケールが長くなる事が多いので、
従来のヘッドありのギターだと横幅が広くなってしまう事が
多いのが現状です。

面積が広くなれば、それだけ重さも増えるので、
ヘッドレス構造にする事でコンパクトで軽量になったモデルが
人気が高い様です。

ヘッドレスタイプのファンフレット&マルチスケール仕様の
ギターの多くはヘッドだけでなくブリッジを
ボディエンドギリギリに搭載する事でボディーの面積も
大幅に減らしているモデルが多い印象ですが、
これが更なる軽量化に貢献していると言えるでしょう。

ヘッドレスギターは、通常のギターより木部が
減ってしまうので従来型のギターとは鳴り方が違い、
良くスッキリとした鳴りと表現される事がありますが、
この辺りも各メーカー毎に狙ったサウンドに近づくように
創意工夫されているのが現状です。

取り回しのよさの点でヘッドレスギターが
この仕様のギターでは人気の高さは確かに頷けますし、
管理人も実際に幾つか触ってみた印象では、
ギターの抱きごこちや演奏性の面では、かなり快適だと感じましたが、

個人的にルックス面ではヘッドがある方が好みですね…。
見慣れるとカッコ良く感じるのかな?(笑)

4、高い…

当然と言えば当然ですが、同じ材やピックアップなど
同じスペックのギターでもファンフレット&マルチスケール仕様の
ギターは割高です。

ちょっと、多弦ギターを試してみたいだけと言う場合には
従来型ギターの方がコスト面でもリスクは低いのが現状です。

恐らくコストを押し上げているのは専用のブリッジなど
パーツ代とファンフレットの打ち込みにかかる手間賃だと思われますが、
大量生産化が進むことで将来的には、
もう少し価格も抑えられるかも知れませんね。

この辺りは今後の音楽シーンの動向次第と言えるでしょう。

まとめ

如何でしたでしょうか?

ファンフレット&マルチスケールのギターはまだまだ、
発展途上のギターといえるのかも知れません。

ルックス的にもサウンド的にもモダンで
洗練された印象のモデルが各メーカーから投入され
ドンドン販売されていますが、

これまでの音楽シーンでは想像出来なかったような
「何か」を生み出してくれる兆しを感じさせてくれるギターでは?
と管理人は考えワクワクしています。

普通のギターとして使っても全く何も問題ないですが、
何か新しい事をやってみたいプレーヤーには面白い選択肢と
言えるのでは無いでしょうか?

この記事が、あなたのギターライフに何か良い影響を
与える事が出来たなら幸いです。

管理人が実際にファンフレットの7弦ギターを
弾き比べてみた印象をまとめた記事は以下からどうぞ!

⇒ファンフレット・マルチスケール7弦ギターをガチで弾き比べてみた!



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