どうも、指1ギター管理人です。
今回は、管理人も所有するフェンダー・ムスタングの亜種とも言える、
フェンダー・サイクロンやディオソニックなどムスタングシェイプに近い
形をしたギターの違いやそれぞれの特徴をまとめてみようと思います。
では、早速行ってみましょう!
デュオソニック/ミュージックマスター
フェンダー社から開発された世界初の量産型エレクトリックギター
「テレキャスター」の大成功と、
その後のストラトキャスターの好セールスから、
新たなラインナップとして開発、製造され発売されたのが、
ミュージックマスターとデュオソニックです。
ストラトやテレキャスはプロが持つギターとして
ある意味でポジションを確立しましたが、
当初それらを購入出来ないキッズや初心者をターゲットにした
低価格帯のギターとして登場した訳です。
1956年に発売されたミュージックマスターなのですが、
ムスタングが発売された1964年以降は共通のボディー形状が
採用されたと言われています。
それ以前のモデルはムスタングと比較すると
「クビレ」のオフセット具合が若干、
小さくなっていてクビレ位置に関してだけ言えば
ストラトに近い形状となっています。
ネックに関しては元々、スチューデントモデルとして
手の小さな人にも演奏がしやすいように
21フレット仕様の571.5ミリ(22.5インチ)の
3/4スケール仕様になっていました。
その後、ボディーと同様にムスタングの発売以降は
22フレット仕様でショートスケールと呼ばれる
609.6ミリ(24インチ)が基本仕様となりましたが、
3/4スケールもオプションで選択可能だった様です。
実はに管理人も3/4スケールのギターを
触ったことがありますが、ストレッチ系のフレーズでは楽々、
遠くまで指が届きますがハイポジションに関しては逆に
狭すぎて指が納まりにくく弾きにくく感じました(苦笑)
また、ムスタングとの一番大きな違いをあげると、
ブリッジ部分に採用されたダイナミック・ビブラートと呼ばれる
ムスタングの最大の特徴とも言える部分が無く、
テレキャスターの様なボディーに空けられた穴から
弦を固定するハードテイル仕様で、
3連サドルが採用されているのもテレキャスターを
彷彿とさせますね。
アームを使う事が出来ませんが
調整不足のダイナミック・ビブラートの様に
チューニングがズレたり、
ムスタング特有の音が暴れたり散ってしまう事も無いので、
ミュージックマスターとデュオソニックの方が好きだと言う声は
意外とヴィンテージ含め人気が高かったりします。
他にも、テレキャスやストラト同様に1959年以前は
メイプル・ワンピース・ネックですが、
それ以降はローズウッド指板が採用される事になります。
年代毎の違いで言えば、
1959年まではゴールドっぽい色の「アノダイズド・ガード」と
呼ばれる金属製のピックガードが採用されています。
アノダイズド・ガードはシールド効果による
ノイズ低減も期待できると言われていて見た目のゴージャスさと
共に一部マニアには、とても人気の高い仕様と言えるでしょう!
デュオソニックとミュージックマスターの違い
デュオソニックはミュージックマスターの2ヶ月後に発売された
モデルと言われていますが、
違いはフロントピックアップ一発仕様のミュージックマスターに
リアピックアップが増設され、それに伴いピックアップセレクターが
取り付けられたモデルとなります。
フェンダーで言えば、エスクワイヤがリア一発で
フロントピックアップを増設したモデルが
テレキャスターとして定着しましたが、
デュオソニックとミュージックマスターの逆の発想になりますね!
また、ピックアップセレクターでは、
- フロント
- リア & フロント(直列)
- リア
という選択が出来る、
ちょっと独特の回路を持っているのも
大きな特徴だと言えるでしょう!
直列によるハムキャンセル効果はもしかしたら、
時代背景的にもギブソンのハムバッカーピックアップを
意識していたのかも知れないですね!
現行モデル
フェンダーからは従来のデュオソニックを踏襲し
現代的なニュアンスを加味したTMとリアピックアップに
ハムバッカーを搭載したHSモデルが発売されています。
いずれのモデルに関しても専用のピックアップが開発されており、
メーカーの復刻にかける情熱も相当のものがあると思われます。
ムスタングと同様のボディーとネックが採用された
1964年以降とは違い、オフセットがほぼない
クビレ位置のボディが採用されていて、
トレードマークとも言えるショートスケールサイズの
短めのネックとなっていますが、
- Cシェイプネック
- 指板が240R
- フレットがミディアムジャンボ
と言う演奏性の快適さを考慮した、若干のモダンな仕様となっています。
また、3Wayトグルスイッチによるピックアップセレクターでは、
- リア
- リア & フロント(パラレル)
- フロント
となっていて、直列の疑似ハムバッカーサウンドが
廃止されています。
また、リアハムのHSの方はトーンコントロールに仕込まれた
プッシュ/プルスイッチによってタップを
切る事も可能でサウンドバリエーションも広がっています!
ただ、現行モデルではローズウッド材の枯渇からか
パーフェロー指板が採用されています。
過去にフェンダーからメイプル指板のデュオソニックの
リイシューが販売されていましたが、
個人的には最初期のアノダイズド・ピックガード仕様での
復刻を期待しています(笑)
サイクロン/サイクロンⅡ
オフセット・ウエストのボディシェイプを持つサイクロンですが、
見た目以上にスペックの違いがあります。
まず、ネックですが、ムスタングのトレードマークとも言える
ショートスケールでもフェンダー定番のロングスケールでも無く
ギブソンで定番の「ミディアムスケール」が採用されています。
- ショートスケール
- ミディアムスケール
- ロングスケール
の中間に位置するネックの長さですが、
ムスタングのテンション不足やストラトやテレキャスなどの
ロングスケールが弾きにくい等の不満のあるユーザーには
嬉しいスペックと言えますね。
また、これまたムスタングのトレードマークとも言える
トレモロユニットが「ダイナミック・ヴィブラート」では無く
ストラトキャスターと同様の
「シンクロナイズド・トレモロ」を搭載しています。
ムスタングの薄いボディ厚では
シンクロを搭載する事は出来ないので、
これに伴いボディ厚も増しています。
これによってムスタング特有の音のレンジの狭さや
「じゃじゃ馬」と表現される暴れる音やチューニングの不安定さが
改善されていると評価される事が多く
ムスタングの進化系とも言われる所以ですね。
また、ムスタングはアルダー以外にもポプラ材や
70年代にはアッシュ材が用いられる事がありましたが、
サイクロンに関しては一貫してアルダー材が採用されていました。
パッと見るとボディ、ネックともにムスタングと同じ様に見えますが、
サウンドや演奏性に関わる大きな変更と言えるでしょう!
初期のサイクロンはメキシコ工場で製造されたと言われています。
前述した以外の主なスペックとして、
フロントピックアップにストラト用の
テックス・メックス・シングルコイル・ピックアップと
リアにはアトミック・ハムバッカーが搭載されています。
ピックアップセレクターは3Wayトグルスイッチで、
- フロント
- フロント & リア(並列)
- リア
の3つの音から選択する事が可能です。
製造が開始された1997年と言えばアメリカでは
空前のグランジ・ブームと言う事もあり、
ニルヴァーナのカート・コバーンの愛用していた
リアハムのムスタングからインスパイアを受けて
フェンダー社が開発したモデルと言う説もあるそうですが、
90年代当時のフェンダー・カスタムショップ内の
開発エンジニアであった日本人の「後藤誠輝氏」によって試作された
「ムスタング・カスタム」のスペックが
元になっていると言う説もあるそうです。
他にも2ハムバッカーモデルのサイクロンHHには、
アトミック・ハムバッカーより低出力のサンタ・アナ・ハムバッカーが
搭載されたそうです。
2HHにする事でシングルとハムの出力差が無くなり
更にハードな音楽を演奏する事が可能になります。
管理人、個人的にはディンキーシェイプのストラトを使うなら
更に小ぶりなサイクロンも、ミディアムスケールと言う個性があるので、
選択肢として、もう少し評価されても良い気がしますが…
オフセット・ウエストボディーを好むプレイヤーと
ディンキーストラトを愛用するプレイヤーはジャンル的に違う気がするので、
なかなか難しいのかも知れないですね…。
ムスタング・カスタムの用にサイクロンにフロイドローズを搭載して
更にEMGなどハイファイなピックアップを載せたりすると、
更に様々なジャンルのプレーヤーに興味を持たれそうで、面白そうだな~と
思ったりもするのですが…(笑)
また、フェンダー社の廉価版メーカーとして広く知られる
「Squier」からもリアハムのモデルが一時期、生産販売されていました。
アルダー材が採用された機種もあった様ですが
安価なバスウッド材が採用されたモデルも中古市場では
散見されますね。
US.サイクロン
2000年に、短期間で日本限定で発売されたUS.サイクロンですが、
メキシコ工場製のサイクロンと似たスペックとなっています。
違いは、2シングルコイル仕様になり
ピックアップはノイズレスが採用されています。
また、トレモロユニットには滑らかなアーミングが可能になる
2点支点タイプのシンクロナイズド・トレモロが採用されています。
このUS.サイクロンが日本限定で発売されたのは、
ムスタング使いとして日本で絶大な支持を集めていたChar氏に
フェンダー・カスタムショップが製作した
「カスタム・サイクロン」をスタージに使った事で話題になり、
販売に踏み切ったと言う説があります。
元々、ムスタングも米国よりも日本の方が売れ行きが良いと言われていて、
Char氏のネームバリューに乗っかった販売戦略だったのかも知れませんね。
更に2001年にも、再生産されたモデルは
US.サイクロン アップデートと呼ばれ、ピックアップが
ホット・ノイズレスへ変更される事により更に高出力なサウンドが
印象的なモデルへと生まれ変わりましたが、
結局、2年程度の僅かな期間のみの生産で中古市場でも
非常にレアで根強い人気があるモデルです。
また、フェンダー社からは再生産などはありませんが、
日本国内のギターブランドである、フジゲンやPsychederhythm から
類似のモデルが製造販売されているのをチラホラ見ることがありますね!
サイクロンII
サイクロンと同じボディーシェイプとネックスケールと
シンクロナイズド・トレモロを踏襲しつつも
ピックアップを3つ搭載したストラトライクなモデルかと思いきや、
実はジャガー用のピックアップが搭載され全てが
スラントマウントされているのが大きな特徴だと言えるでしょう。
また、ピックアップセレクターに関しても
ジャガーと同タイプのものが採用されていますが、
ジャガーの様にローカットスイッチやプリセットトーンはありません。
3つともが各ピックアップのオン/オフを可能にしている事から
ストラトの様なハーフトーンからテレキャスの様に
リア&フロントや3つともオンにすると言う設定が可能です。
製造期間もかなり短く、激レアなギターなのですが管理人は一度、
ショップで見かけ試奏した事があります。
印象としては、かなりハイ上がりなサウンド傾向で
クリーンだとペケペケしたサーフミュージックに合いそうな音と
歪ますとかなりジャリジャリしたイメージで、
ノイズレスが搭載された
若干モダンな味付けのサイクロンとは真逆の方向性で
完全に別物だと考えたほうが良いと感じました。
特に歪ませたいならハードロックやヘビーメタルと言うよりは、
ファズなどで荒々しく歪ませたガレージパンクやグランジ系の音楽に
ハマりそうな気がします。
また、70年代のムスタングで良く見る
コンペティションラインと呼ばれる3本の斜めに走るラインが
印象的で見た目のインパクトもあり管理人も思わず手に
とってしまいました(笑)
他とは違うギターを持ちたいと言うプレーヤーには
面白いモデルだと思いますが、中古市場でもあまり発見出来ないですね…。
ブロンコ
1967年に販売されていた「ブロンコ」は、
ムスタングと共通のボディ・ネック・ピックアップが採用されていますが、
ミュージックマスターと同じく1ピックアップ仕様の潔いモデルです。
ミュージックマスターとは逆にピックアップはリアのみで、
モデル名の由来と考えられる「bucking bronco = 荒馬」の意味通りの
荒々しいサウンドが特徴です。
ムスタングとの違いとしては、
ピックガードがボリューム・トーンのコントロールパネルと
一体型となっていて、
トレモロユニットもブロンコの為だけに開発された
フェンダー・スティール・ヴィブラート・トレモロユニットこと
「ブロンコ・トレム」が搭載されています。
また、1968年から70年中頃までは「ブロンコ・アンプ」との
セット販売もあった様で、フェンダー社は、
この頃は初心者ユーザーの顧客開拓に熱心だったんでしょうね!
リア一発ながらトーンコントロールを操る事で
太めの音から乾いたフェンダーサウンドまで楽しめる非常に
個性的なギターです。
60年代のフェンダー・ヴィンテージギターとしては
価格も高騰していないのでヴィンテージギターの入門用としても
悪くは無いかも知れませんね!
管理人の知人が60年台のブロンコを所有していて
触らせてもらった事がありますが、ムスタングを愛用する管理人からすると
フロントピックアップは欲しくなってしまいましたね(笑)
あまり人気は無いモデルですが、
独特のチープなサウンドが病みつきになるかも!
フェンダー、ムスタング・サイクロン・デュオソニックの違いまとめ
如何でしたでしょうか?
意外に多い(?)ムスタングファミリーですが、
管理人は個人的にサイクロンを再販して欲しい所ですね!
手が小さくて通常のフェンダースケールのギターに苦手意識はあるけど、
ギブソンでは無くフェンダー系のギターを持ちたいと考えているなら
ショートスケールやミディアムスケールが採用されている前述のモデルを
選択肢に入れるのも悪くは無いでしょう!
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